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花粉症の季節を迎えて

日本では、毎年2月頃からスギ花粉が飛び始め、3月〜5月にかけてヒノキ花粉が本格化します。この時期は花粉症の方にとって非常に厳しい季節です。実際、日本人の約4割(2019年時点で42.5%)が花粉症を持つ1)とされ、「国民病」とも呼ばれるほどです。

日本の花粉飛散の特徴

スギ・ヒノキ花粉

  • ・スギ花粉の飛散時期:2月〜4月
  • ・ヒノキ花粉の飛散時期:3月〜5月上旬
  • ・例:関東地方ではスギは2月下旬〜3月下旬、ヒノキは3月下旬〜4月上旬がピークです2)。2026年シーズンの実測では、東京都青梅市で1日4,000個/cm²近い飛散量が観測されています3)

花粉大量飛散の”サイン”

晴天で乾燥し、風が強い日は花粉が大量に飛散しやすく、条件が整うと太陽の周囲に虹色の輪が現れる「花粉光環」が観察されることがあります。

花粉光環は、空気中に高濃度に浮遊する花粉粒子(およそ20〜40 µm程度の粒径)が、太陽光を透過・散乱させることで生じる光の回折現象(diffraction)の一種です。花粉粒子は球形ではなく凹凸があるため、光が通過する際に波として広がり、特定波長が強め合うことで虹色の干渉パターンが形成されます。

ただし、現象の観察を目的としても、太陽を肉眼で直接見ることは極めて危険ですので、絶対に行わないでください。

花粉光環

花粉光環

スギ以外の花粉

日本では、スギやヒノキ以外にも、以下の植物の花粉が花粉症の原因となります。

  • ・イネ科(カモガヤ、ハルガヤなど):初夏〜秋
  • ・キク科(ブタクサ、ヨモギなど):夏〜秋

このように複数の植物が季節ごとに花粉を飛散させるため、日本では実質的に年間を通して何らかの花粉が空中に漂っているとも言われています。

世界との違い

世界では花粉症の主な原因はイネ科やキク科の植物であり、スギやヒノキの花粉が大規模に飛散する日本の状況とは大きく異なります。

なぜ日本ではスギ・ヒノキ花粉が多いのか

最大の理由は、戦後(1950〜70年代)に行われた拡大造林政策です。

国内木材需要に応えるため、成長が早く扱いやすいスギ・ヒノキを大量に植林した結果、現在の人工林1,009万haの約7割がスギ・ヒノキ林となっています4)。スギやヒノキは樹齢20〜30年で最も多く花粉を飛散させる特性があり、現在はその高齢林が大量に残存している状況です。さらに、輸入材の増加により国産材の価格が下落し、伐採・再造林が進まず、高齢人工林が51%以上を占める状況になっています。これらが大量飛散の構造的背景となっています。

花粉症に対する政府の取り組み

政府は「花粉症対策 初期集中対応パッケージ」として、以下の3本柱の政策を推進しています5)。普段はあまり目にする機会がないかもしれませんが、花粉症の発症を防ぎ、原因となる花粉そのものを減らし、さらに飛散情報の精度を高めるためにまとめられた総合的な対策パッケージです。

1) 発症等対策

  • ・アレルゲン免疫療法(舌下・皮下)の推進
  • ・治療薬の安定供給(原料確保・増産体制整備)
  • ・スギ花粉症緩和米(経口免疫の研究)
  • ・初期療法や早期治療の啓発

2) 発生源対策

  • ・スギ人工林の2割減少を目標に伐採・利用を加速
  • ・少花粉スギ苗の開発・植え替えの推進
  • ・伐採後の再造林を促進

3) 飛散対策

  • ・民間企業による飛散予測精度向上を支援(気象庁・環境省データ提供)
  • ・全国の飛散観測網(環境省・各自治体・民間)の強化

花粉症対策の重要性が年々高まる中、近年企業や研究機関では、花粉や花粉アレルゲンを低減するための各種製品・素材の開発が進んでおり、それらの性能を客観的に検証する評価手法の重要性が高まっています。

当センターでは、花粉および花粉アレルゲンの低減機能を付与した家電製品、繊維製品、コーティング剤等を対象に、各種標準試験規格に基づく性能評価を実施しています。

評価試験をご検討の方は、ぜひ当センターにお問い合わせください。

出典
  1. 1)花粉症に関する関係閣僚会議(第1回)
    https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/kafun/dai1/02siryo2.pdf(厚生労働省発行資料、2026年3月12日に利用)
  2. 2)花粉飛散情報2026
    https://tenki.jp/pollen/(日本気象協会ウエブサイト、2026年3月12日に利用)
  3. 3)東京都アレルギー情報navi. 東京都の花粉情報
    https://www.hokeniryo1.metro.tokyo.lg.jp/allergy/index.html(東京都保健医療局ウエブサイト、2026年3月12日に利用)
  4. 4)スギ・ヒノキ林に関するデータ
    https://www.rinya.maff.go.jp/j/sin_riyou/kafun/data.html(林野庁ウエブサイト 2026年3月12日に利用)
  5. 5)花粉症に関する関係閣僚会議(内閣官房ウエブサイト)
    https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/kafun/index.html(2026年3月12日に利用)
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