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出前講座2025年9月21日

***北里環境科学センターと日本銅センターは、北里大学病院などの協力のもと、銅及び銅合金がもつ抗菌・抗ウイルス効果について、高頻度接触表面の衛生的補完を目的とした共同研究を行っています。***

2025年9月21日、さがみっこ学び応援隊の活動に参加している相模原みのり塾の中学生のみなさんを対象に、3回目の出前講座を実施しました。
今回の講座も、北里環境科学センターと日本銅センターによる共同開催で「銅博士になろう!」をテーマに、「⾚⾎球の形態観察」と「遷移⾦属(せんいきんぞく)の触媒作⽤」、「銅を使う電池のしくみ」について学びました。



第2回の出前講座では、銅は赤血球と鉄を繋げる大切な役割を果たしていることを学習しました。今回は、3つの異なる食塩濃度(①塩分が入っていない低張溶液(0% NaCl)、②体液の塩分濃度に相当する等張溶液(0.85% NaCl、生理食塩水)、③塩分濃度が高い高張溶液(10% NaCl))の中で浸透圧の影響を受けて赤血球の形がどのように変化するかを顕微鏡下で観察しました。



「遷移金属の触媒作用」の講座では、銅の他に、銀、ニッケル、亜鉛の金属板に3%過酸化水素水を滴下し、水滴中に発生する気泡を観察する実験を行いました。遷移金属とは、元素周期表の中央あたりに位置する金属の仲間を示し、自分は変化せずに化学反応を助ける「触媒作用」が特徴です。過酸化水素はこの触媒作用によって分解され酸素(気泡)を発生します。
実験の結果、金属ごとに反応速度は異なり、銀は勢いよく気泡を発生するのに対し、銅はゆっくり気泡が発生し、ニッケルと亜鉛は数分経っても気泡が発生しないことを観察しました。これは、金属の性質や電子の配置によって反応の進みやすさが変わるためで、この実験を通して、銅を含む遷移金属の触媒作用を気泡の発生よって確認しました。


「銅を使う電池のしくみ」の講座では、銅板と亜鉛板をそれぞれ正電極と負電極に用いた電池を用意し、電解質溶液の違いによる発電の様子を比較して電池の仕組みを学びました。電解液には、超純水、スポーツ飲料水、レモン果汁飲料水を用意し、それぞれに電極を浸し電子オルゴールを接続し、その音が鳴るかどうかを観察するとともに、テスターを用いて直流電圧も測定しました。
その結果、それぞれの電解液に一組の電極をつけた場合、メロディー音は微弱で不鮮明であり、電圧もレモン果汁飲料水で最大約0.9Vであった。そこで、レモン果汁飲料水に4組の電極を直列につなげた場合では、電子オルゴールがはっきりとメロディー音を奏でて、直列接続によって電圧も2Vを超える値を示し、十分な電気エネルギーを供給できるようになったことが確認できました。
この実験を通じて、電極材料としての銅の役割や、電解液の違いによる発電特性、さらに直列接続による電圧上昇の仕組みを確認しました。

相模原みのり塾の生徒・講師の皆さま、講座にご参加いただきありがとうございました!
また、日本銅センターの皆さまには、今回もご協力いただき心から感謝申し上げます。