HOME > 情報館 | 光触媒の消臭、抗微生物効果

光触媒の消臭、抗微生物効果

漢字は見るだけでその時の情景が感じ取れます。例えば、「香り」、「薫り」はさわやかな感じがしますが、「臭い」は鼻をつまみたくなる感じがします。化石燃料が発見され人々の暮らしに利便性が増してきましたがその反面、空気が汚染され、古き良き時代の短歌にしばしば詠まれている梅の花などのほのかな香りは、鼻を近づけないと感じられなくなった今日この頃です。

ところで、日本の伝統的な家屋の構造は空気の流通が良く夏向きに出来ているように思えますが、最近の家屋は気密性に優れており、家庭内の臭いがこもり問題となっています。例えば、焼き魚や焼き肉の臭いが部屋に残るので、調理時にそれぞれの家庭で様々な工夫がなされているようです。また、家庭内にはカビ臭、ペット臭など多種多様な臭いの発生源があり臭いは悩みの種となっており、様々な防臭・消臭に関する製品が発売されています。これらの中で、最近、光触媒の示す抗微生物、防臭・消臭、防汚染などの効果を利用した様々な生活用品があります。

触媒とは、そのもの自身は変化しないが化学反応を速くすることができる物質であり、このうち、光が当たった時に触媒として働く物質が光触媒です。 光触媒として最も良く知られている化合物は二酸化チタン(TiO2)です。作用機序として諸説ありますが、多くの論文では図1に示すように説明されています。


図1:光触媒のメカニズム

即ち、二酸化チタンに光を当てると電子と正孔が生じます。この電子と空気中の酸素が反応しスーパーオキサイドアニオンラジカルが発生します。さらに、正孔と空気中の水が反応してヒドロキシラジカルを発生します。これらラジカル(活性酸素)が臭いや汚れの分解、さらに微生物および微生物毒素を破壊します。一方、二酸化チタンの表面に水酸基が引きつけられ、表面が親水性になり、付着した汚れを浮き上がらせ除去すると考えられています。現在、二酸化チタン以外にいくつかの金属化合物について光触媒としての性能評価がなされています。

図2:光触媒試験用のチャンバー図3:(例)光触媒によるウイルス感染価の低下

当センターでは、光触媒を利用した製品開発の基礎研究の段階から製品に至るまでの様々な段階で光触媒の性能を評価しています。特に、抗微生物効果に対しては細菌、真菌、ウイルスなどを対象として、光触媒の公衆衛生への効果を確認しております。さらに、家庭、老人ホーム、病院などで利用されている光触媒加工された壁紙・塗料の防臭・消臭効果の評価など、光触媒が示す環境衛生への貢献の可能性を探っています。

これらの内容につきましては、下記連絡先までお気軽にお問合せください。

[関連ページ] 素材評価試験 抗菌剤の効果試験

【お問い合わせ先】
一般財団法人 北里環境科学センター ウイルス部
TEL:042-778-9208 FAX:042-778-4551
E-mail:info@kitasato-e.or.jp
このページの先頭へ