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環境水中のウイルス分析について

当センターでは、ウイルスに関する各種試験を行っております。
今回はその中から、環境水中のウイルス分析についてご紹介いたします。

冬季にはノロウイルスを代表的な原因ウイルスとする感染性胃腸炎が流行します。また、夏季に流行する感染性胃腸炎は、アデノウイルス、コクサッキーウイルス、エコーウイルスおよびエンテロウイルスなどの腸管系ウイルスが原因となっています。これらのウイルスは下水を介して環境水を汚染していることが知られており、下水や下水処理水および環境水中の衛生学的検査の一環としてウイルス検査が行われています。

環境水中のウイルス検査方法

環境水(下水・下水処理水、放流水や河川水など)中のウイルスを分析するための方法としては、「上水試験方法(2011年)、日本水道協会」、「下水道試験方法(2012年改定)、日本下水道協会」および、厚生労働省が取りまとめた、食品(貝類)や糞便からのノロウイルスの検出法「ノロウイルスの検出法について(2007年5月 食安監発第0514004号)」があります。当センターでは、これらの方法に準拠して環境水中のウイルス分析を受託しています。
おもに以下に示す2種類の方法で環境水からウイルスの分析を行っています。

ウイルスの感染性を指標とする分析

ウイルスは細胞の中でしか増殖することが出来ません。そのため、環境水中からウイルスを検出するためには、さまざまな細胞を使用してウイルスの分離を行います。ウイルスが細胞に感染して増殖すると、細胞はウイルス特有の形態変化(細胞変性効果といいます)を起こします。当センターでは、セルロース吸着・凝集法により濃縮した試料を4種類の細胞に接種し、継代培養を繰り返すことで、感染性のあるウイルスの検出を受託しています。

ウイルスの核酸を検出する方法

環境水中に含まれるウイルスのうち、ノロウイルスに代表される培養できないウイルスは、ウイルス核酸をPCR法により検出します。また環境水中のウイルスは患者由来の検体と比較してウイルス量が少ないため、濃縮が必要です。当センターでは、下水・下水処理水などの分析を行う際、PEG沈殿法および陰電荷膜法により試料を濃縮しており、リアルタイムPCR法でウイルス量を定量しています。

環境水のウイルス分析に関しては、ウイルス部までお問い合わせください。

お問い合わせ先
一般財団法人 北里環境科学センター ウイルス部
Tel:042-778-9208
E-mail:info@kitasato-e.or.jp
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